刺身は美味い。何故、こんな美味しいモノを世界中の人は食べようとしないのであろうか。刺身を食う文化は日本特有だ。韓国でも、それなりに、またイタリアでもカルパッチョとか食べる文化が無いわけではないが、日本の刺身とは少し違う。今でこそガイジンも刺身を食うが、そんなのはごくごく最近の事。魚を新鮮なまま生で食うなんていう発想は、やはり世界レベルで見れば今だ”特殊”と言っても間違いはない。海岸線の地域では食べても流通が発達していない内陸部は無しに等しい。
さて北海道は”魚天国”なのは承知の事実! 生ものは確かに美味し、安い。 素晴らしい漁場が近いといえばそれだけだが、それなりのニーズがあっての事なのだ。小樽は札幌から約一時間。札幌には無い漁港があり、札幌の海の幸の玄関となっている場所なのだ。そして”石原裕次郎記念館”がある場所だ。(それは関係ないかぁ・・でも行ってみたら楽しかった!)とてもシブい小樽の町はとても素敵に再開発が進み、昔あった石造りの倉庫街はショッピングモールなどに造りかえられていて、町が良い具合にデザインされている。 さて、この町で何を食うかで、この町を好きになるか嫌いになるかの重要な分かれ道となるのだ。地元民のとても信頼がおける友人から一軒の居酒屋を紹介された。その名も”一心太助”だ。
それはそれは、地味な店構えで驚いた。事実、二回通り過ぎてから店を発見! 店内も決して威勢が良い訳でもなく不安要素は沢山あったが、クチコミを信じて入店。一通りの刺身を注文して食い、焼酎を飲んで満足していたら、よく周りの客を観察してみてみると、全員(全員は皆である。例外なくミンナという意味だ。エーブリィバーディーだ!)が食っているものがある。それは”鮭茶漬け”である。早々に注文してぶったまげた。ぶっぶっぶっぶっぶったまげたのである。どうして、何故、ホワイ!!??この値段でこんな強力な”鮭茶漬け”を提供できるのだろうか!再度メニューの金額を見直して改めて目の前にある”茶漬け”をジックリと見てしまった。
間違いなく利益度外視としか考えられない。その鮭茶漬けに横たわる鮭はハラス(鮭のお腹、脂のよくのったマグロでいえば「トロ(腹部)」のところ)の部分でとても脂がしっかり乗っていて美味い部分だ。あんな鮭フレークを固めたみたいな無味乾燥とした鮭が乗っているわけではない。長さ23センチ、幅5,2センチ、厚さ0,86センチの堂々たるハラスなのだ。それだけで家族4人が晩のオカズに出来てしまいそうな程に堂々としていて、その”反り返り具合”なんてイナバウアー状態である。”世界お茶漬けコンクール”に出展したら、間違いなく北海道知事賞か農林水産大臣賞は受賞可能であろう。当然に、これをまたサービスで提供しているのは、理解の範囲だが20代の若者が、これだけを食べに来ているではないか!
実際に食べてみるとお茶漬けなんて簡単な食べ物ではなくて”焼き加減ミディアムレアーの北海鮭のハラスの白ご飯お湯スープ添え”が正しい名前であろう。とにかく店主の良心を感じる一品であった。これを食べて以来、他店のお茶漬けが食えなくなったのが困り事だ。イキでイナセなお兄さんの代表選手は大久保彦左衛門に仕えた魚屋の一心太助!! まさにイキな”お茶漬け”でした。
- 一心太助 居酒屋 北海道小樽市花園町1-5-3
- 0134-34-1790 営業時間 12:00~14:30 16:00~21:40
- 定休日 日曜日(連休中は営業)
- 《実は電話で電話を確認しようと思ったら通じないのです。移転かナァ!何か情報があったら教えてください。》