オレの大好きな中華料理店が生まれ育った場所に戻ってきた。
駒沢に引っ越した時の理由の一つが
近所にこの店があることだったのに、
引っ越した直後にこの店は何の理由か
都心の神田に引っ越してしまったのだ。
そのショックたるや計り知れないものだった。
元々、この店のある松陰神社はかなり不便な場所だ。
どちらかと言えば
三軒茶屋に店を出したかったけれど予算が合わなくて、
仕方なくここを選んでいると思うのは
完全なオレの偏見だ。
三軒茶屋から、
いまだにこんなローカル線が走っている事が信じられない
ローカル感満載の世田谷線で数駅、
駅前商店街が寂れるでもなくいい感じなエリアだ。
まだスモールビジネルが中心となっている様な
良き日の商店街がここにある。
この五指山は、
その界隈でヒッソリと有名な店だった。
何せ看板もノレンもない。
メニューもないし、店の中は装飾もゼロ。
賃貸で借りた白いただのハコに
テーブルと椅子があるだけ。
よく中華料理屋さんにある赤い壁紙も、
木の彫り物も、トラだか万里の長城のタペストリーも何もない、
ただの白い壁に黒いテーブルと椅子。
(椅子は背もたれ無しの丸い椅子)
という10分あれば引っ越しも完了するであろう店内。
もはや“装飾“という言葉はそこにはない。
そしてある日その店は
突然に都心を過ぎて下町の神田に引っ越してしまった
・・・寂しかった。
オレは捨てられた気分になった。
そして数年たってその店が帰ってきたと雑誌で読んだ。
それもDanchyu
(食に関しての記事はぶっちぎりに素晴らしい雑誌だ。)
のコラムでだ。
早々に予約して行ってみた。
少し違う場所だが数十メートル駅に近づいたが、
ちゃんと同じ商店街。
相変わらず看板なし、
装飾なしはスタイルだ。
そして以前の味より一層、パワーアップ!
(それ正しい表現かな!?)
とにかくオレは嬉しかった。
帰りがけには店主と握手までして
戻って来てくれたことを喜んだ。
捨て去った恨み辛みをグズグズ言う気は無い。
黙って理由も聞かず静かにしておいてやろう。
『おかえり!五指山!』
By ご近所さん代表
ちなみにここの料理人であるご主人は日本人、
ホールを預かる奥様は中国人、
ご主人は時間さえあれば中国に出向き
屋台料理など庶民的な味を食べまくり、
研究に研究を重ねた筋金入りに中国好き!
日本の中華料理は世界一美味しいなどと評されるけれど、
こんな人の存在がそんな評判を作っているのかもしれないなぁ。
中国快餐店 五指山
070-4063-2787
東京都世田谷区若林3-17-5
https://tabelog.com/tokyo/A1317/A131709/13209971/