夏の素晴らしい時期に北海道を訪れた。北海道の自然は心を癒し、胃腸を清々しくしてくれると考えるのは俺だけであろうか。食材の宝庫、北海道の”丼”の文化も素晴らしい。ウニ丼、いくら丼、カニ丼・・・・・ワクワク・・・しかし”豚丼”食べましょうと誘われてもそんなに期待もワクワク感も正直わかなかった。というのは今回はジンギスカンの名店”有楽町”で頭が一杯で、胃腸空白部分に肉モノの入るスキが無かったのだ。 しかし至る所で名物”豚丼”の垂れ幕、看板、チラシがぁ・・・ということで、その元祖の店である”ぱんちょ”を訪れた。
あらら・・・店は閉まっていた。閉店時間は7時なのに訪れたのが7時10分、しかしノレンを掻き分け乱入して土下座、泣き落とし、おだて戦法で口説き入店に成功。というかココまで来たら食わないで帰るのは忍びないと考えた。オレの強い意思はオーナーだか店長だか、とにかく責任者に伝わり、その情熱、誠意は認められ、オッケーサインが出たのだ。そう、このように最重要決定事項がトップダウンで即決まる会社、店は名店の証だ。まるでマニュアル化されていない。(とは勝手な判断、というか、ひつこすぎてウルサイし、残っている他の客の迷惑と考えたんだろうなぁ。とにかく東京から食いに来たんだぁ・・・と嘆願。)ということで4人で豚丼を二人前、発注。(夜の別のアポがあったので試食なんです。)メニューは単に上に乗っかる豚の量の違いだけで、松、竹、梅、華と四段階に分かれている。華に至ってはドンブリのフタから海老天の尻尾みたいに肉が飛び出しているではないか。(海老みたいに可愛くないのが残念だがぁ。)そして待望の我が班の”豚丼”が運ばれてきた。本日、この店の最後の客の最後の一杯なのだ。(そんなこといちいち考えちゃいないだろうが・・)
そして早急に写真撮影して(実はいつも興奮して写真を撮り忘れてしまい食いかけを撮ることが多いんです・・)ハシを突っ込む!!メシを食う。素晴らしい米の美味さだぁ。そしてタレの美味さも抜群でほんのり甘く、香ばしいタレの香りが実に幸せな味付けである。なんといっても、とても豚肉は当然にジューシーで軟らかくタレは上等で高尚、そして上品な味が忘れられない。(タレは醤油、みりん、三温糖、日本酒で調合らしい。)さてこの世でキングオブ丼物といえば牛丼があげられる。最近は狂牛病の騒ぎ以来、めっきり吉野家にも行かなくなった。吉野屋が苦戦しているのは承知の事実。しかしこの豚丼を食うと、何を”牛”にこだわるかと思う。たかが豚丼、されど豚丼・・・・吉野家経営陣、開発担当者諸君!!早く釧路に出かけて食いなさい!!!安全で美味しい”ぶた丼”こそが日本の未来を支えるのだ 。
- 元祖 豚丼 ぱんちょう
- 北海道帯広市西一条南11丁目19番地 0155-22-1974
- “ぱんちょう” 飯亭(メシを出す店)を中国読みで”パンチョウ”となるそうだ
- 豚丼 松850円、竹950円 、梅1050円、 華1250円
- 営業時間 11:00~19:00
創業昭和8年、昭和初期の北海道はまだまだ開拓が盛んで帯広も十勝平野の中心地として農耕が活発。この地方と豚との係わり合いは開拓時代(1883年、明治16年)。”牛は畜産、鶏は卵を産む、豚は食する”というのがこの地の人の考えだった。北海道十勝地方は14支庁あるなかで最大の東京都の5倍を誇る面積。先代がこの地で育った豚肉をさらに美味しく食べたいということで味を極めるまで数十年の歳月をかけて完成したのがこの味。身近な丼料理として多くの方々に味わっていただきたい一心で店を出した。・・・・・と店内には表示あり。品目の多い一般の食堂として昭和8年に開業したが、昭和30年には”豚丼”のみを特化して勝負!ラーメン50円、カレー60円の時代に150円の値段の”ごちそう”そして帯広の味の象徴となった。
2005年の夏、数年前からの悲願を達成することが出来た。そしてあえてこのページを借りて自慢したい。これでオレもジンギスカナー4級達成である。以前、お気に入りのジンギスカン店の倶知安(ニセコの麓、クッチャン)の名店”寛松”にて地元スノボー仲間のみんなで食っていた時に、とても平和な気分で”ここのジンギスカンは最高だなぁ!!”と発言したらユージン・ヒロムが一言”うっふっふ、最高は帯広の名店・有楽町でここはその次。うっふふ”と飲んで酔っぱらって弱っているオレにもの申したのだ。それは挑戦であり希望となった。その日から、いつか立派なジンギスカナー(ジンギスニスト。どちらが正しいかなぁ)に成長してオレも名店・有楽町を訪ねようと決断したのだ。
それから東京・中目黒界隈の最近、流行りの店を食い倒した。それなりにジンギスカンを語っても問題ない程度(5級程度)には成長を遂げたと自負している。そしてこの夏、そう2005年の暑い夏に帯広の名店”有楽町”に表敬訪問することができた。時間はなんとまっ昼間。13時に乱入。(予定通り)正面玄関(ただのアルミのドアだけどねぇ。)では緊張と、ついに、ここまでやってきた!という満足感、充実感で感無量であった。記念撮影までしてしまった。そして乱入! え~~~!!、意外にも来ている常連客はテレビの高校野球に釘付け状態になっている。オーぃ!失礼ではないか!ジンギスカン様にたいしてレスペクト(尊敬)は無いのカァ!!テレビ見ながら食うとは何事であるかぁ。 ここがジンギスカンの聖地、AMなら聖地のエイダなのだ!! 金融ならニューヨーク、ファッションならミラノ、高校野球なら甲子園、電化製品なら秋葉原、サーフィンならハワイ・・・・ジンギスカンなら有楽町と信じていたのに・・・。ここは想像を反してあまりに緊張感ゼロな普通の食堂である。ガタガタ騒いでいないでとにかく発注だぁ。やたらに多い店員さん(物凄い数で全員女性・・・北海道の道産子女性は良く働くんだぁ)に注文。しかし一品ずつが安い。(一人前346円)そして早々に鉄板を温め投下! 肉汁ジュバァーー! コゲたタレの香りがフワァァン~~!たまらない、実にたまらない美味さだ。これだったのかぁ!!
実はこの肉の美味さを元・有楽町店員から直接インタビューできた。なんと店主が厳重管理する肉の倉庫には味付けした日付入りのイット缶(18リットルの石油缶)が並んでいて、店主はギリギリ(肉は腐敗寸前が美味さの頂点となる。)を出してくるのだそうだ。そして長らく心に残っていた謎も解けた。何故にして有楽町という名称なのか。想像は様々に駆け巡ったが・・・・・その答えは意外だった。当社の帯広地区・諜報部員デヴ・ヒデ(フランス的繊細なデブ)に取材させたところ店主ご長女(推定40代前半)”有楽町の名前の由来”の証言がとれたとの報告。”私も気になって父に聞いた事があるのですが、お恥ずかしい話、思いつきなんですよ・・・由緒正しい店でもないのにそれを聞かれると恥ずかしくなるんです・・・”との事。散々想像を巡らせたネーミングはただの思いつきであったという結末。とにかく有楽町に行くべし!!!!そう飛行機に乗って飛ぶんだぁ!! それからゆっくり話しを聞きましょう!!
(食った残骸の写真ですみません。料理が出てくるとつい食うことに精力が入ってしまい写真を撮り損ねます。)
未公認・ジンギスカーナー国家検定の合格基準
1級 ”めかくし”をしてどこの店の”タレ&肉”だか言い当てられる。店主の名前、所在地、価格、営業時間は当然頭の中。
2級 目の前に置かれた三軒の有名店の肉を食い、店名を当てられる。
3級 週1回ないし2回はジンギスカン、そして食わないと発作が出る。
4級 ”有楽町”に行ったことがある。北海道人とジンギスカン話に対等に渡り合える。
5級 だるま。めんようてい、札幌ジンギスカンなど札幌界隈名店は制覇。
6級 札幌ビール園を制覇。”正しきジンギスカンの食い方講座”は受講。
7級 中目黒界隈でジンギスカンを食って満足。道産子ローカルには非常に馬鹿にされる。
8級 ジンギスカンの名前の由来は知っている。
初段は羊の殺傷から解体、上級段位となると羊との格闘試合などを要求されるので素人は1級あたりで満足しよう。
- ジンギスカン 有楽町 北海道帯広市西23条南1丁目39番地
- TEL 0155-37-2805 ファックス 0155-37-2035
- 営業時間 AM11:00~PM9:00(LО) 定休日:毎週火曜日(祝日の場合は翌水曜日)
- 国道38号線から西帯広駅へ。ほぼ駅前。
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