この店を知ったのは、とあるカード会社の月刊誌だった。実に美しくシュールなキノコの写真。1ページに大きく、みずみずしく写る数種類のキノコは迫力満点だった。 その写真は実物より大きく、肉眼で見る現物より粒子が細かく見えた。 今年は雨が多く、キノコ類は不作と聞いていたのに・・・・あるところにはある! ここが隠してる! これが興味の始まりだった。 だいたい、もともと湘南の葉山の“名店”が何故、六本木なんて陳腐な場所に引っ越してこなくちゃいけないのかも不思議だった。 金儲け・・・違う! 食の伝導・・・? とにかく行ってみるしか無い! あちらさんが、わざわざ東京に来てくれているんだから、行かなくては失礼だということで出かけた。
西麻布の奥まった路地にある、湘南からやってきた名店は以外にもシンプル! 装飾を極めてシンプルというよりは、あまり何もしていなくてシンプルという店構え。店内は大きな大きな(6メートル×1メートル)の囲炉裏の回りに囲む様に椅子がおいてある。ほとんどそれだけ!!
さて “またぎ”の御主人。 だいたい何故にして葉山かというと魚影の濃い海の近くにして、山に様々な獲物(鳥獣類)が豊富にいる環境が同居しているという理由で葉山であったそうだ。ところが御主人があるとき気が付くと店に通ってくれるお客さんの8割が東京の人・・・ならば悪いから自分から出て行った方がお客様の為になるのでは・・・と考えた。 なんとお客様思いの御主人でしょうか!
メニューというか御主人の“殴り書き”的なお品書き・・・・良く見ると“イノシシ”“熊”“鹿”とおおよそ西麻布界隈の店では扱いの無い食材が用意されているのだ。そんな究極のジビエを食わせてくれるのだ。 最初にとにかくキノコ類を注文! すると御主人がやってきて一言 『お客さん、この椎茸食べちゃったら二度と他のが食えなくなるけど良いかなぁ!?』(これ実話です。真顔で・・)『覚悟していただきます!』手のひら位のサイズの椎茸はビックリ仰天なお味だった。 濃いのだ、とにかく濃い! 鹿肉もイノシシも、涙のお味!! こればっかりは食べてみるしかないですね!! そして次回に同じモノが入荷する可能性も無し! “またぎ”である御主人が射止めて来たものが出るだけなので、それこそ“今”を楽しむ店です。
この日の食材達・・・しいたけ、ひらたけ、まいたけ/めじまぐろ、はなだいのごま和え、わらさ、あじ・・・まさに山海の珍味!そして鹿とキジ・・・まさに“美味いもの食らったナァ!”という実感です!
- 山人料理、海人料理 “またぎ”
- 東京都港区西麻布3-1-15 RFビル1階
- 03-3796-3388