洋服屋さんにも様々な店がある。グッチやプラダの様な高級ブランドから、安さを売り物にしたショップ、一年中バーゲンしている店もあれば、中国製オンパレードの上から下までで1580円みたいな常識ハズレ的な店もある。最近はセレクトショップ(オーナーやバイヤーのテイストでその店の方針にあった様々なブランドの製品を日本だけでなく海外からも仕入れる。)が台頭してきたし、国産ブランドも相当に日本だけでなく海外でも評判になっている。・・・・・ということで何が言いたいかとえいば、肉屋さんにも同じ事が言えるのだ。(魚屋にも言える!)
ここは肉屋のユナイテッドアローズ、いやいやもっと小さな、コダワリオヤジが経営する、セレクトショップに相当するのだ。今回紹介する札幌の知る人ぞ知る”片岡肉店”は、なんと歴代三代目になる由緒はないが歴史はありそうな肉屋なのだ。札幌の”食友のダイちゃん”紹介のこのオヤジさんとは電話を通じて何度も会話をしていた。そして(正直、公表したくはないが)生ラム肉を何回か送ってもらって、豪華なジンギスカンナイトを開催していたのだが、その会話のやり取りとか送られる肉の愛情ある梱包(決して過剰包装では無い。)そして、味たるや”崇高”の粋であった。
ある冬の一日に、悲願の”片岡肉店表敬訪問ツアー”が行われた。店では我々御一行を迎え入れる歓迎式典などの準備は全くなかったが、遠くからこの店が見えた時には何故かデジャブー的な感覚を覚えるほどに懐かしさを感じてしまった。そんな気取りも見栄も無い謙虚な(要はどちらかと言えばアバラ屋建築という至ってシンプルかつ地震対策などしていない簡素な建築・・・どうも遠回り(^ム^) なボロ屋だ。そこが大切なのだ。ボロけりゃいいと言うわけではないが、どうも”実直”とか”誠実”という言葉にはこんな店構えがピッタリだ。
店内は視覚に入る殆んどが”ガラスショーケース”と”張り紙”が占めている。そして扱う肉がマニアックすぎるのだ。オヤジさんは名前を告げると、嬉しそうに様々な肉をナンと”生”で塩コショウで試食せてくれた。当然に新鮮だから出来る”技”だが、それは、それは美味しかったなぁ。どうせだったら白ワイン、いや軽い赤なんかも用意してもらえたら幸せ度数は最高潮に達しただろうなぁ・・・・とにかく肉屋のオヤジの肉への愛情がバッチリ感じられる素晴らしい店でした。
ここは加工肉や世間では当たり前の他の肉を混ぜたジンギスカン肉などは先代の遺言で絶対に扱わないらしい。オヤジさんの肉の説明を聞きながら”自分が大好きだから売ってます!”というのが充分に感じられた。好きなものだから、こんなに自慢げに美味しいモノを薦められるのだ。・・・・・・・深い時間でした。
- 片岡精肉店 札幌市中央区南二条東2丁目 電話 011-231-8612