北海道の最東端、知床半島を走るJRの釧網線は一日9往復、18本のローカル電車だ。シレトコとはアイヌ語で”地の果て”という意味だけあって、世の中の動きに比例してだんだんと過疎化。駅も無人化していった。電車もバスみたいにワンマンタイプになり、恐らく大赤字を国費の補填で存続しているに違いない。
しかしそんな中でスバラしい動きがある。残された無人化された駅の再利用なのだ。ここの駅は”止別駅/やんべつ”という。”止”という字が”やん”と読むと知り驚いた。女の子が抵抗する際に叫ぶ『いやぁ?ん!』はこの文字から由来しているのだ。
さて、この駅は昭和40年代に無人化が決定!日本の高度成長期の最後のあたりに過疎化が決定なんて、おそらく致命的な何か問題を抱えていたのであろう。駅前にて他の仕事をしていた現店主の先代が、その話を聞いて駅舎を使ってコミュニティースペースにする事を考え、そして何の予定も無かった駅舎がなんとラーメン屋(ラーメン&喫茶という新しカテゴリー)を開業。
店に入れば元駅舎っぽい空気はムンムン! 飾り付けも可愛らしい。そしてメニューだが観光客に一番人気は”駅長ラーメン”でオホーツク海の海産物全部盛りという作品!(1500円) でも地元民(ローカル)は間違い無くそんなモノは頼まない。地元に愛されるのは”ツーラーメン”だ。ツーは”通”いわゆる玄人を指す直球勝負のラーメン。自慢のスープに細切りのチャーシューと大量の白髪葱だけ! これが超美味かった。
考えれば過疎化とはいえ地域住民から最も必要とされる公共交通機関の鉄道の駅。そこは様々な人が交差する重要なコミュニティースペースでなければならないから、そこでこんな皆から愛される店を開くとは素晴らしいアイデア。今流行の駅上の商業施設エキュート(品川を始め様々あり!)などと同じだ。
ちなみにお隣の駅は旅人からも愛される”道の駅”(野菜や地産品を販売)と”本当の電車の駅”のコラボレーションで利用者から愛されているのだ。 知恵を絞る事は素晴らしい!そして地域の人々の役に立つ事も素晴らしい!
- 駅馬車(えきばしゃ)
- 北海道斜里郡小清水町止別1 JR止駅舎内
- 0152-62152
- ツーラーメン700円
- http://tabelog.com/hokkaido/A0110/A011002/1004179/dtlphotolst/P9257141/?ityp=4