変化することは素晴らしい。良く変化することは向上するということでより素晴らしい。あるフレンチの料理人からこの店を紹介されて行ってみて驚いた。20年前に通ったヤキトリ屋が進化していて形態を変えて”禅料理”という新境地を切り開いていたのだ。当時から少し風変わりな店でコダワリがあった事は記憶にあるが、まさか・・・・。
なんてったってオレがその店に通っていた16~17年前当時の名称は”ヤキトリハウス”というヒネリもなにもないストレートな屋号だったのだ。出すものはひたすらに焼き鳥屋の通常の居酒屋的料理。ただ、試作的に”柿の天ぷら”とか当時、他では見る事が出来ないような料理を時々トライしていたような記憶がある。それは禅料理というか精進料理(お坊さんが食べる料理)だったのだが・・・・・そして今では禅料理なる域を追求して蔬菜坊(ソサイボウ)なる新たな域に到達。当時から店の切り盛りは夫婦二人だけで行っていたのは変ってはいないが、やはり禅料理を極めたせいか、ただの老人ではないぞ的なオーラを発するまでに到達していた。頭は年齢からか思想的にか定かでないがツルツルのスキンヘッドというよりもマルコメ君状態で邪念は一切見受けられず、料理に精進していることが頭髪から見受けられるのだ。
昔以上に店主は腰が低くて好感がもてる。店内を切り盛りする奥さんがとても面白い。そしてものすごい酒豪である。(お客としてはナンにも関係はないのだが飲みすぎたハスキーボイスというかダミゴエがとても素敵だ。)さて、ここの心も肉体も洗われる蔬菜坊的精進料理は・・・禅料理(腹をふくらませるのみの食事ではなく日本特有に季節を愉しみ自然の恩恵を喜ぶユトリをかもし出し身体を養う薬)・・・とメニューに書いてあった。調理技術は何百年に渡り僧侶の体験、研究の医術から発生。基本的に野菜とキノコを使った身体にはとても優しい食材だ。当然、農薬、保存料には気を使っている。年間通して鍋が味わえる。11月から2月は”禅鍋”、4月”は竹の子鍋”、5月から6月は山の神の贈り物”山菜鍋”、6月から8月は”鱧しゃぶ鍋”、9月から10月は天然キノコの”キノコ鍋”、11月からは鴨の解禁にあわせて7000キロ離れたシベリアから飛んできた鴨で”鴨なべ”。
まあとにかく出てくる物、全てが感動の食うほどに身体に優しく嬉しい”体内エステ”という表現が正しい。なんだか身体をいたわってあげたいと思ったら直行すべし。我々が久々の乱入をした際に、某有名女性グルメ系批評家がカウンターで友人と美味しそうにプライベートな食事していた。ウフフ・・・やっぱりなぁぁ。知ってるんだなあ!。
- 蔬菜坊(そさいぼう) 目黒区目黒本町4-1-9 03-3710-4336
- 要予約 車だと東横線・学芸大學から目黒通り方面へ、目黒郵便局を抜けて武蔵小山に入ったあたり。目印は店に電話しましょ。
- 営業時間は18時から24時 休日は日曜、祭日は営業。
- 予算はコースで5000円~から松茸が加わる12000円まで。野菜合え盛りは七種で2100円。単品も充実、長芋コロッケ、生湯葉チップス、丹波黒豆の枝豆(650円)湯葉蒸し(1200円)、禅寺ウドン(1000円)、十穀ごはん、そして焼き鳥類も素晴らしくトゥールダルジャンで使用されているシャラン鴨の鴨ネギマは450円、つくね、砂肝、トリカワ・・・とにかくメニュー見てたらウキウキ感は頂点に達するのだ。