場所は西麻布である。世間的に言えば相当にイケてる店が集中しているエリアである。イタリアン、フレンチ、懐石、創作系、中華に焼き肉。超高級からミドルクラスまでナンでもある。隠れ家的なバーも沢山ある。叶姉妹が何処にいても自然な華やかさがある街だ。先日、ブゥシュ大統領が来日した際に小泉首相が接待に使った居酒屋の”ゴンパチ”もここにある。今日、紹介する、この店も偶然に通りかかり嗅覚がうなり発見したのだが、今では、まるでサプリメントの様に身体に優しい事をしてあげたい時に利用している。
さて、ここで大切な質問です。もし、人生最後の晩餐(ばんさん)という事になったら、貴方は何を食う??。結構、この質問が好きでヒトにしてみると、答えで多いのは寿司、または白い御飯と味噌汁という意見だ。イタリアンだぁ、中華だぁという答えは聞かない。そう、ニホンジンたるもの、結局最後の晩餐は白御飯&味噌汁に落着くと思う。フレンチシェフの友人も、大のワイン好きの友人も最後は”白メシ×味噌汁”という答えだった。マクドナルドにケンタッキーと化学の味に毒されている我息子にいたっても最終日は”しろご飯×味噌汁”と言っていた。ここの店、”たぬき”はとことん”白メシと味噌汁”にこだわっている。この店、言葉で表すなら実直、堅実、清楚、一途、闘志、厳格と硬い文字のオンパレードだ。波田も普段は身体に良いからと玄米なんかも食うが、最後の晩餐は健康の事は考えなくて良いからヤッパ白米だねえ。メシはササニシキかコシヒカリだかわからないが毎回しっかり抜群に美味しい。味噌汁は本日の味噌という二種選択制が導入されていて、比例代表制なんかよりズッーット、我々の生活に役立っている。
この日は薩摩味噌(麦こうじをふんだんに使った淡色甘口)と仙台味噌(大豆と米こうじ同量、一年かけて熟成)。そしてご飯に至っては”おこげ”の選択が可能というのもスゴイ。波田がガキのころオコゲは兄と殴り合いをして奪い合った位に愛していたが、それがタダで追加されるなんてスゴイ。でもそれをわざと作ってしまうなんてスゴイじゃないか。私のオフクロはいつも間違えて偶然には出来ていた・・・。見れば当然、メシはお釜で炊いている。物凄い強火でその瞬間、ガスの検診メーターはすごい勢いで回転していることを想像できる。ハジメチョロチョロナカパッパアカゴナイテモ・・・と大昔から伝えられた最も米が喜ぶ方法で御飯を炊いているのだ。電気釜なんて、まったく恥ずかしいシロモンに思えてくる。主役は御飯と味噌汁でその脇役も充実している。日によって異なるが魚も美味い。そのサイズが上品(要は小さい)でメシに敬意を払っているかのようだ。さて、人生最後の日の食事はこうありたいとイメージメーキングできる店、”たぬき”にて至福の時間を!、そしてニッポンジンってイイナア・・・と思う事でしょう。
- めし処”たぬき” 港区西麻布 西麻布の巨大中華料理店・香港ガーデンの裏側の道、隣りに位置します。
- 御飯と漬物、味噌汁で500円、オカズは、かます1200円、さわら1200円、いさき1100円、黒イカ造り1200円、めんたい焼き1100円、そしてイカヌタ450円、しらす300円、つまみ菜おひたし350円、若鶏マリネ500円、おから、ピリ唐コンニャク・・・・やっぱりニッポンジンっていいなあ・・・。焼き魚他、おかず類は結構小さいのだが、メシが美味しくてそんな量で充分というかんじ。