マニアな世界はどこにでもあると思う。それを本道からはずれた邪道というか、外道というかは自由。ただ保守的な料理が多い中でひとつのスタイルを完全に確立している点を考えると、この前田食堂は素晴らしい存在な店なのだ。
ソーキソバはご存知、沖縄を代表する麺。というか沖縄には、これしかない! 沖縄では蕎麦屋もウドン屋も殆んど無い。とはいえこの前田食堂は街からも相当に離れているし、麺マニアの間では有名みたいだが決して観光客が通う店とは縁遠い。しかし完全に地元民および麺マニアからは崇拝されている。相変わらずだが店にはオーラなどは無い。あるものは知らないものは寄せ付けない”まるで普通”な店構えなのだ。普通も普通もいいところで営業中も休業中に見えてしまうほどの静けさである。ということでこんな店に入ることが出来るのは地元民案内人ウエーチィー(本名は上地)の情報があってのことである。上地の頭脳はボクの頭脳でボクの情報はみんなの情報!! ということで案内してもらい入店。早々に発注をしたのは”肉そば”だった。
驚くことに沖縄の店なのに味が濃いと聞いている。この店の客層は労働者階級が多いのだろうか。聞く話では胡椒味が強いという事なので胡椒控えめでオーダーしたら大正解に美味しかった。胡椒の辛さが、なんだかいい感じだったよ。食うほどに濃いテイストを感じ泣けてくる。牛肉の油を大量のモヤシが受け止めているって感じ。沖縄は暑いせいか、あまり濃い味付けのものが存在しないから余計にこの濃さが泣けてくるのかなぁ。きっと薄味に慣れた沖縄人ウチナンチューがこんなものを食ったら血管が切れて脳卒中にでもなるんじゃないかと思うほど濃い。(ちょっと大袈裟かもしれない・・・まぁオーバートークは世の常でしょ。)そしてその迫力の盛り付けといったら控えめな”ソーキソバ”なんて地味で仕方が無い。ドッドーーンとのった野菜は圧巻。その山盛りの野菜をかき分けて、やっと麺に到達する。そこの横穴にハシを突っ込み麺を引き出し食うのだよ!!
この炭鉱堀の掘削作業に似たような仕事は快感だ。唐辛子的な辛さとかとは違う、胡椒的な辛さというのも魅惑的なんだなぁ。何故か新しくて、何故か古い刺激的な味が病み付き感を覚えるのです。毎度考える事だが、ネーミングと言うモノをもっと重視してもらいたい。具材で言うならば”コショウ・もやしソバ”が正しいが、この名前でも食欲や販売促進には繋がらない・・・・きっと一度食べたらまた行きたくなる・・・・・難点はとにかく激しく遠いのだ。食いたい!!遠い!!食いたい!!遠い!!・・・・・どうする!行ってみるか!!
- 前田食堂 沖縄県大宜味村津派985 0980-44-2025
- 牛肉ソバ 600円 てびちソバ600円 ソーキソバ600円 他にも色々あり。
- 営業時間 10:00~18:00 休日不定