3月末の小春日和のある日、朝イチからニセコで、それはそれはスバばらしいパウダースノーを楽しんだ。 昼になりスポーツの後でだんだんと小腹も空いてくる。これから札幌に向かう道中・・・何を食うかを相談していた。冗談みたいだが、食べたいモノは蕎麦かカレー、そしてやりたい事は温泉に入る! するとユージン大ちゃんが、その全てをイッパツで満たす場所があると・・・口数が少ない友はボソリと『山の奥にインド人がいて、美味いカレー出すんスョ!蕎麦も美味いし!そしてトナリは温泉で・・・』と言われたが意味がまるでわからなかった。
国道から少し入ったところに古い、まるで木造の校舎のような、いや昭和初期のドライブインが朽ちたような・・・お世辞にも立派とか豪勢、そして繁盛なんて言葉とはかけ離れた建物・・・悪いがオーラ値はゼロな建物。こんな時に案内人がいるというのは有り難い。オレひとりだったら何かの間違いと思い帰っちゃう程に老朽化しているのに、玄関をガラガラと開けた瞬間に暖かいものを感じた。下駄箱に靴をいれるが、もう浮き足立つというか、震え上がる期待感が襲ってくる! だってニオイをクンクンと嗅げばインドカレーのキツい胃腸をつかむ様なスパイスの香りと、奥からは蕎麦のダシの香り、そして右の方からは温泉の硫黄の香りがムムーンとくる! そして、なんと良く見れば食堂は超満員! 建物の外観からは想像もつかない内部の盛り上がり・・・ 空腹感のまま温泉にはいり綺麗になった身体にカレーを流し込むか、カレーを食べて満足感とスパイスに酔いながら温泉に入るかは迷うところだが、今日は食欲を優先させた。
まずカレーを選択!(ラムカレーとトマトナスカレー) そして蕎麦(桶そば)も選択! これを食券を購入して待つ! 厨房にはインド人のお兄さんが5~6人、みんな楽しそうに働いている。そして数分後にインド人コックは『ナナァジューヨンバンサァーン』(74番さん、これは今回この店から与えられたオレ達の番号)を呼ばれてカレーを受け取り、見れば実に美味しそう! しかし小さな失敗に気づく。モノには順序があるだろ。カレー→蕎麦は無い!必ず蕎麦→カレーでしかない! カレーの後に回された蕎麦はその存在価値がなくなる。惨めな気分にさせてしまう。 しかし蕎麦が来ない。仕方が無く空腹に耐えられない状況回避をするために味覚障害を起こさない、弊害の無いナンをつまんでみるが、実に美味い。メニューには”世界一美味しいナン”とJARO(日本広告機構)もビックリな誇大広告があるが、当たりかもしれない。でも”アンタ世界中のナンを全部食ったのか?”・・・とか蕎麦が遅れをとる腹いせをぶつけようとしている間に、隣のカウンターからオレ達の番号が呼ばれてピックアップ!
そして蕎麦をツルツルっ!『美味っ!!』看板に偽り無しな蕎麦だ。そしていよいよカレーを食う。これが本当に美味しいのだよ! こんな山の中でカレーを食うなんて・・・感無量です。 今回は食べ損ねたが、蕎麦コーナーに”ガンジス”というカレー蕎麦があってコレも人気らしい・・・まさに蕎麦屋とカレー屋の日印合作の作品だょ!(笑) この店、聞けば十数年前まで札幌の繁華街・ススキノでインド料理を経営していた息子さんが、稼業を継ぐ事になりカレー屋を閉店すると決めたら従業員のインド人の一人は残りたいと要望。ならば温泉のハジっこでインド・カレー屋をやるかって事になって温泉&カレー、そして前からあった蕎麦屋という組み合わせになったそうだ。偶然でも、わざとでもないからステキだよ。
そしてここの温泉が”かけながし”(混ざり物無し、追い炊き無し!)のまさに一級品なお風呂。お風呂に入ると鍾乳洞(しょうにゅうどう)みたいな湯の華で地層みたいになっていて天然ぶりがうかがえる。 あぁ?・・・露天風呂で青空を見上げながら口に残るカレーの香りを楽しんだ。世界中にこんないい場所があるんだろうかぁ??昼寝すっかぁ!三つの夢と希望を同時に叶えて大ちゃんの功績に感謝する昼下がりでした。
- ONSEN食堂・豊平峡温泉 インド料理、十割蕎麦、そしてジンギスカン
- 札幌市南区定山渓608 電話011-598-2410
- 営業時間 平日 10:00~24:00 日曜祭日 9:00~24:00 (インド料理は11:00~10:00、蕎麦は11:00~21:00)
- URL http://www.hoheikyo.co.jp/