100人のリピーターは1万人の顧客を生む!

11月17日(火) 今日は講演会があった。かなり前からお会いしてみたい方で、伝説のレストラン”カシータ”のオーナーの高橋氏であった。 結論から言うと衝撃的な人だった。あんなに艶やかなオトナはみた事が無い。御年57歳とは思えない自分を磨く、自分に投資するということに全力を尽くした人だ。モノスゴい高い理想を持ったヒトだ。そうでもなければ、こんなに輝くオトナにはならないであろう。 氏のレストランは日本一”お客様の満足”にテーマをおいた店だ。 味がウンヌンなんて話はおいといて、確かにレストランの魅力とはそれだけではない。波田の少ないながらも経験上だと、また行きたくなる店とは、決して美味しいだけではない、また期待と思わせるモノがある。そこを徹底的に追求しているのがカシータだ。 高橋氏は飲食業未経験にしてこの店を始めた。しかし様々なレストランに私財を投じて30年間も”お客様”を経験してきたと語る。そう、カシータはお客様目線のレストランなのだ。通常の料理人には考えも付かない視線でのレストラン作りをしている。 以下は藤田がまとめてくれた高橋氏のスピーチ。興味があるかたは是非、高橋さんの著書”I am a man”を読んでからレストラン”カシータ”を予約して行ってみましょう! 間違いなく衝撃的な夜になります。 あと飲食関係の方、アナタの店の顧客満足度はいかがですか!? もしこの数字を上げたいのならばカシータにヒントがあります。 “100人のリピーターは1万人の顧客を作る!”
《高橋氏のスピーチ要約》 高橋さんの言われていることは非常に多岐に及んでいるが突き詰めると2つだと感じた。
1、お客様目線でのサービス
2、システムより情熱(おもい)が先!
この2つはほとんど当たり前のように感じるかもしれないが、それを本気で実践するのは難しいのだなと思った。
★講演録
●外で食べろ
「飲食経営者の皆さんは月に何回外で食事をしていますか?」 それが重要。私は毎日必ず外食している。 てっぺん(安価な居酒屋)で7万円使った夜もある。 つまり払うひとの気持ちが分かる必要がある。お客様の目線を持つこと。 それが難しい。キッチンは皿の上でサービスを向上しようとする。 フロアはテーブルでサービスを向上しようとする。 それ以外に意識がいかない。 たとえば、店の外でお客様が乗ってきたタクシーをお迎えするような発想にはならない。 従業員と共有しているのは「普通じゃないレストランをつくれ!」
●外のサービスを自分の仕事に落とし込め
一流のホテルだったらお客様部屋のテーブルにウェルカムカードを置いておくのは当たり前。だけどそれをしているレストランが他になかったからカシータはやった。 全日空のファーストクラスのトイレには歯ブラシから整髪料からなんでもあった。だけどそれをしているレストランが他になかったからカシータはやった。 一流のサービスを知り、それを自分の仕事に落とし込めるかが大切。
●経営者は旅に出ろ
オーナーは旅に出ろ。自分の感性を磨け。ベストのオーナーは「五感で感じ、第六感で決断する。」 外で困ったり、いいサービスを受けるなかで感性が磨かれる。 たとえば、海外でお金を使い切ったあと国内に戻ったときのタクシーが、カードが使えなくて困ったとき、自分なら絶対カードを使えるようにするのにということが分かる。 自分は枯れない50代、60代、70代になるために、パリ、ミラノの親父のファッションを見に行く。 時間がないなんていわせない。 親父達のファッションを見るためだけに、1泊3日の弾丸でパリ・ミラノへ行く。 英語がだめなんて言い訳にならない。 だめだからこそ世界に出ろ。 ニューヨークに行け。 なぜなら、世界一、旅人に冷たい街だから。 タクシーに乗る。自分は英語ができない。そしてヒスパニアンの運転手も英語ができない。いくら説明してもホテルに着かない。 そんな経験が、次回からは、ホテルのリムジンサービスを頼んだ方がいいという経験の蓄積になる。 今年ベトナムに2回行った。最初、名ばかりの5つ星レストランに6日間泊まった。しかし、自分の名前を従業員が言うことは1度もなかった。 最終日、時間があったので、パークハイアットのレストランに少しだけ寄ることにした。 空港に迎えに来てくれたリムジンの運転手がドアをあけながら、 “ウェルカム ミスター高橋”と言ってくれた。 ファーストタッチでだ。その後、何人ものひとが、名前で自分を呼んでくれた。 この感動があったから、思わず「また来る」と言ってしまい、約束どおり、今度は何十人も引き連れて、パークハイアットに戻ったんだ。 「磨いた感性でレストランを生かせ」
●性格は変えられないが、生活は変えられる
●ドトールとスタバ
ドトールで90日間同じものを頼み続けた しかし、最後まで「何にいたしますか?」 「サイズは?」「お持ち帰りですか?」という同じ質問をされ続けた。 90日間全く同じものを頼んだのにだ。 それから気が変わりスタバに行くようになった。 同じものを頼んで3日目。オーダしたとき砂糖は先に入れておきましょうか? と聞かれた。砂糖を入れるいつもの自分のオーダにあわせて先にいれて溶かしてくれるというのだ。カップの熱さ対策の周りを包んであるものを見ると マジックインクでの”Thank you”の文字。うれしかった。 スタバで一度だけ本当にカードが使えるのか、試しにアメックスで清算した。 そして同じものを頼んで2週間。コーヒーを持って、扉を開いたその瞬間 「いってらっしゃいませ 高橋様」 という声が聞こえた。うれしかった。店長さんだった。 お客に仕事として接するか? ひととして接するか? すべてはそこにかかっている。  すべてはここに集約される。
●トップのおもいが必ず末端まで伝わる
JR東海と全日空の違い。 JR東海の社長は安全と利益優先。 何年グリーン車に乗り続けても必ず切符を見せるために起こされる。 講演会を頼まれ、経費の関係で回数券が送られてきた。 窓口で差額のお金を出すので、その回数券をグリーン車にしてくれと頼んだら。 できないという。一度電車に乗って、もし開いていたら車掌に頼んで、電車の中でグリーン車に変更してくれと言うのだ。窓口ではできない。車内でしかできないと。私は怒りに満ちて、回数券は使わず、その場でグリーン席を全額払って購入した。乗ってみるとガラガラだった。窓口のひとはシステムでこの状況は分かっていたはずだ。だけど、規則だからの一点ばりで、変更を認めなかった。 全日空の話・・・子どもをふたりつれたお母さんが、必死にカウンターに走って来たが。飛行機はもう出ていた。次の飛行機にしてほしいというお母さん。 しかし、そのチケットは変更の効かない安いチケットだった。 困り果てるお母さん。カウンターのひとはなんと本当は変えの効かないチケットであることを理解してもらったうえで、次の飛行機の空き状況を確認。そのチケットの変更を受け付けた。
●お客様に真剣なレストランを目指している。
35000円のすし屋。 好きなネタも聞かず勝手に作る。 10万円以上の食事をしたにも関わらずカードも使えない。 それでいいのか?
※旭川のレストランで、わざわざ友人が誘ってくれて東京から行ったにも係わらず笑顔なし、挨拶なし。見送りなし。・・・それでいいのか?
※金沢のレストラン 講演会の主催者が、家族ぐるみのレストランというところを紹介してくれることになった。 時間が少し余裕があり17時の予約を16時半にして欲しいと電話すると、その家族ぐるみのレストランは17時からだと断った。・・・家族ぐるみの友人をなぜ辱めるのか
※14時までがランチタイムのレストラン 汗をかきながら14時10分に到着したお客を規則だといってランチを提供しなかった。→ 少しくらい遅れることもあるだろう。
日本は規則をサービスよりも優先させる。 カシータはNOといわない飲食店を目指す。 規則<サービス
●宇宙になろう
最近はデザイナーが主役になっている。→つまりハードが話題になる。 しかし、本当は従業員のサービスが主役になるべき。 いい店はその店独特の宇宙がある。 「お金をかけずに声をかけよう」→社員教育で空間を作る。宇宙を作る。 「目隠しをしていても感じるのがサービス」 たとえばタクシー。 今は、より高級な車にするのがサービスだと思っているが違う。 車のレベルではない。 お客様が乗って、最初に止まった信号機。 振り向いて「温度は丁度いいですか?」 これだけで車内は宇宙になる。
●システムについて
よくカシータの顧客管理システム他、システムについてよく聞かれる。 しかし、一番重要なのは、システムではない。「情熱」だ。 ホスピタリティは人間性。システムではない。 日ごろから、当たり前にしていることのレベルがそのままホスピタリティにる。 ホスピタリティとは、「やってあげた方がいいけど、別にならなくてもお客様がやってくれることを、それでもやってあげること。」 →思いが通じる。 →具体的には、女性に車のドアをあけてあげること。
●カツどん
あるランキング調査会社が、都内の高級ホテルすべてで、夜中、フロントに「カツどん」が食べたいと申し出てみた。 何十もあるホテルで、カツ丼を夜中持ってきたのは、リッツカールトンを含めて外資のホテル3つだけだった。 →他のホテルは、豚肉がなかったんですか? コメが切れていたんですか? なぜできない? 日本のホテルは客を選ぶ。ふざけるな。 特に旅館はひどい。予約は1週間前まで。 最初はおそらく1週間目の予約をしてもらえば、最高の食材が揃えられる等、お客様のメリットを考えての提案だったのだろう。 しかし、今は旅館都合にしか見えない。
●今日のスペシャルを明日のスタンダードに
日本のホテルの言い訳。 すべてのお客様に均等にできるものだけをサービスする。 ある日、カシータで、誕生日のひとが来店。喜ばせたいとおもい、カプチーノの上にメッセージを書いてみた。はじめての試み。 一生懸命つくり、時間がかかった。 完成したときは、カプチーノが冷めてしまっていた。 そのため無料でそのメッセージいりカプチーノを提供。 お客様はそんな冷えたカプチーノで泣いてくれた。喜んでくれた。 当時、それはスペシャルだった。 でも今はそれは技術もあがりスタンダードになった。
●一番大切なもの
私たちにとって一番大切なものは、「水」と「空気」。 レストラン業界にとって 「水」=「お客様が来店してくれること」 「空気」=「お客様が支払ってくれること」 水と空気があることが当たり前になってしまうように、お客様が来てくれることがいつしか当たり前になってしまうことがある。 それが一番の問題。 カシータは最初、全くお客が来てくれなかった。 すべてのお客が、従業員の誰かの知り合いだった。 ところが3日目、はじめて、従業員の誰も知らないお客が来てくれた。 来てくれたことが不思議だった。うれしかった。 六本木ヒルズがオープンする1年前にオープンしたのがよかった。 お客様は基本的に来てくれないものという経験ができた。 もし、ヒルズオープン後にオープンしていたら、ヒルズのおかげでお客が押し寄せ、お客が来てくれることに感謝できなかったと思う。 ヒルズオープンの1年前だからお客がこなかったとき水のありがたみを知った。 そして「空気」支払ってくれるということ。 ある時、いつも口座振替で支払っていた業者に15社すべてに現金で手渡した。 毎月6百万円払っているお酒メーカの営業が来て、その6百万円を抱えたとき、 おつきあいをはじめて、はじめて「いつもありがとうございます。」と言う言葉を聞いた。 そのとき、営業のひとをどなりつけた。 いつもこれだけの支払いをしていることを忘れないで欲しい。 一度もお礼に来ることもなく。電話でのお礼のないのはいかがなものか。 それから数ヶ月は15社のほとんどが、振込み後、電話や、来店をしてきた。 しかし、3年経った今は5社しか連絡がない。 そんなもの・・・支払ってくれる。 「空気」の大切さを忘れないで欲しい。
●その他
●男にとって仕事とは、唯一頭を下げる場所
●蕎麦屋、1年通い続けて同じものを注文していたのに、毎回、注文を聞く。
●パスタ屋、金たわしが紛れ込んでいたのを注意した。それなのに、店長含め誰も謝りにこない。
●あるレストラン9万円ほど払ったのに、明細がない。
●メニューに料金がかかれていない。時価・・・その値段を書け!
●テーブルでお客に少しも笑顔を見せない店員が、裏でスタッフ同士談笑して喜んでいる→笑顔の使いどころが違うだろ
●雨が急に振り出したのに、傘を貸さない店。
自分がされたら不快な事をすべて落とし込んだのがカシータなのだ。それだけだ。そんな当たり前が誰にも出来ない。
レストラン・カシータ   http://www.casita.jp
《本当に学べました!キモに命じます!そして高橋さんみたいな人になります! 色気のある男を目指して!!  波田ケージロー》