春の北京を訪れた。北京といえば中華料理。そんな陳腐な話ではない。中国人は四足のものは椅子以外には何でも食うという。ならば机は? なんて、くだらない事は言わない。そこまで何でも食う事の食に対しての執念を表現した、あくまでも”比喩”だと思っていたが、まざまざと今回の食材を見たら椅子もひょっとして食うのかと思える。四本足どころではなかった。

なにを不気味に感じるかは人それぞれ、というか国民性、一個人、家族とかによって違うのかナァ。昔イタリア人の前で”生卵ご飯”を食ったらブッとんでいた。イタリア人には生卵を食う習慣など全く無く日本人を信じられないという顔で見ていたが、日本の少年は全員”生卵ご飯”が好きだ。さて北京の食事情に戻る。北京には北京ダックを代表として北京料理の洗練された美味しい料理が沢山ある。さて、今回紹介する食材は、決して日常とは思えないが、あくまで一般人の手の届く場所で売られている。その道の専門店でもなければ怪しげな店でもない。北京の繁華街の大通りの露天である。それが決して珍しい光景でもなく、一般の人が買ってムシャムシャ(一部はパリパリと)食っているのである。そこで売られていたのは・・・・・・・・イナゴ、セミ、タツノオトシゴ、マムシどうみてもムカデ、なにかの幼虫、小さめな蛇、イモムシ、ムツゴロウみたいな虫、そうだどうみてもゴキ(たぶん)・・・・・・・・・・もう耐えられない。そんな屋台が東京で言うと新宿の靖国通りか銀座4丁目あたりの一等地のど真ん中で何軒も出ているのだよ。となりは見世物小屋でも目黒寄生虫会館(これ相当にマニアックな博物館)でもないのだ。

さてこの露天の店先に可愛らしく並ぶのが今回の主人公。一見、串刺しになっていると美しくてピンとは来なかったが間違いない。つくづく見なくてもそれらが尋常な食材ではないことは理解出来た。この通りの全ての店舗がこんな店という事ではなく、隣はモツ焼きとかも販売していたからノーマルな人々(いや、また差別的表現になってしまった。)も沢山いるのだ。しかし中国人はコレが日常なのか。今回は美味しい話題ではないのには恐縮するが(いや、美味しいのかもしれないが・・・・複雑だ。なにせ臆病になっている。)世界の食文化を知りたい波田としては見てみぬフリは出来ない衝撃であった。さてこの店での調理法は”焼く”のみである。味付けも塩だけであろう。塩焼きというのはモノの素材の美味さを知る上では最も解かり易い味付け方だ。見ているとタレとか濃い目の調味料は使っていない。要は買って食べている人は、その食材の持つ食感、味を楽しんでいるのだと憶測が着く。この際、波田はハッキリ自分を”意気地なし””根性なし””チキン(英語で臆病者)”と認めよう。俺もアフリカではシマウマやガゼル、ダチョウ、インパラ、オーストリッチなど様々な獣を食った。長野ではイナゴも食ったし、沖縄ではナカミ汁(ヤギの内臓の汁)、またフロリダではワニも食った。どこかで蛇も食べたナァ・・・しかし、今回はダメだった。

申し訳ない・・・・・・・・・・10億の中国人全員がこんな食材を食っているとは思えないが、中国経済の牽引力はこの食に対する貪欲な姿勢なのだろう。世の中は広いのだ・・・今回、そんな食品(えぇ~食品なのかなぁ。)を食えなかった事に後悔は無い。テレビのバラエティー番組の芸人に、このような食材を食う事は任せて、オレは普通の美味いものでも沢山、食うとしよう。オレって普通なんだぁ。そしてオレは日本が好きだ。好きだ~~~~!!
上海カニ(しゃんはいがに)なる食べ物がある。美食家たちは冬場になるとこぞって、このカニを食べたがる。この上海カニは決して、日本カニ戦争(蟹の美味しいのは毛ガニだ、ズワイガニだ、タラバガニだぁという比較論争・・・いまだに波田もこの論点に結論は出ていない。)には加わらない別の領域のカニなのだ。

上海カニの季節は10月中旬からで11月を境にメスからオスが珍重される。上海カニは身こそ少ないがミソが絶品! このトロンとしたミソと紹興酒なんて究極だ。 上海カニの基礎知識 http://www.explore.ne.jp/feature/xie.html 今日、乱入した、この店は四川料理が得意な店。ということで全体的には辛い! この店を推薦してくれたのは中華料理の巨匠・李福偉先生!!

上海経験も数多い、李先生(中国では人にモノを習う場合、必ず先生という表現をする!) この四川料理の辛さが病み付きになる。ここの名物は“スペアーリブ”だ。なんとも辛くて香ばしいスパイスの効いたお肉は中華料理の中でも特異な存在!そしてまたまた名物の“串刺しのエビ”も素晴らしい。

ここでも片っ端から注文。よく海外旅行をしなれない方々からの質問で言葉はどうするの!? と聞かれるが、そんなのは簡単っ!! 我ら日本人には少年時代から学んだ漢字の文化があるではないか! という事で、こんな時には筆談です! これが間違っても正しいとは思えないのだが紙に『我望、推薦的料理』と書いたら中国語しかわからない店員さんは、どんどんとオススメのアイテムをニコニコしながら紹介してくれた。

辛いモノのオンパレードであるのは事実だが、その辛さが直球的な辛さと違って実に、心地よいのだ。(結局、翌朝はお尻が少々ヒリヒリして痛いのだが・・・そんなリスクを差し引きしても充分に許容範囲!)まぁ、片っ端から食べまくって下さい。『我望、推薦的料理』ですよ!!

- 滴水洞 (Di Shui Dong Xiang Cai Guan) 電話 62532689
- 住所 上海市 茂名南路56号 Mao ming Rd,No56 (nearChangle Rd) ホテルOKURA の裏側。
- http://www.dishuidong.com
香港の陸羽茶室は”由緒正しい”という表現が本当に相応しい店だ。威厳がありすぎて少々食欲減退するほどにカッコイイ。入店早々に完全に雰囲気に呑まれている。ウゥゥゥ。同じモノを食うのにもやはりこんなに時代を感じる店のほうがやはり美味しい。時代の止まった空気は新横浜のラーメン博物館を思い出す・・・発想の悲しさだ。店内はオーラがモリモリに感じられる。創業は1930年初頭。チェリーウッドの柱や大きな古時計に戦前の菜館の風情が色濃く残る。

なにせ歴史的文化財にも指定されているほどの店構え。宗慶齢(革命家・孫文の妻、妹は蒋介石の妻)の時代から多くの要人が常連客に混ざり店の卓についた。チャールズ皇太子とダイアナ妃、ジョン・レノンとヨーコ、波田啓次郎と堀正樹(おれの友達)、香港映画の大スターもお馴染みの顔。そんな店で食うものは飲茶だ。店の表示には広東料理とある。中華料理は大きく5つに分けられる。①広東(強火で手早く、素材の旨みを大切に、)②潮州(ダックやアヒルをスィートソースで小さな茶碗で食す)③北京(宮廷料理、コショー、ニンニク、コリアンダーをふんだんに使う、餃子や麺類。④上海(砂糖,醤油、しょうこう酒で味付け、上海蟹が有名)⑤四川(辛い物が多い)と分かれる。とまあ波田の博識さをご披露してしまったが、手持ちの観光ガイドに親切にも書いてあった。

結局、特に広東だなあと感じる事は無いが(オレが分かってない)。そうだ。ウマけりャいいじゃないかぁ・・・と、ドンドン食ってみた。ドンドンだ。中華を食うにはパワーが必要だ。片っ端から飲茶(点心、料理)を注文。注文はとても簡単で机に置いてある注文票に欲しい飲茶を個数指定すればそのまま持ってきてくれる。しかし漢字で判断なので、出たものが予想を反するなんて良くある事。それも楽しいぞぉぉ。でもどれも美味しい。そして、夜の海鮮料理は絶品らしい・・・・・そうだ、やはり広東だ。(そして高いらしい。)茶室とあるが本来は美味しい中国茶を飲むのも正しいのであろう。こんなタイムトリップできる店はいつきてもその時代で迎いいれてくれて嬉しい。
- 陸羽茶室 飲茶・広東海鮮料理店
- 香港中環市丹利街24-26 24-26 Stanley St.Central HONG KONG.
- 電話 2523-5464
- 営業時間 6:30~23:30(なんて働き者だろうか。)ただし飲茶は17時まで。
- 飲茶なら一人300香港ドル(約1800円程度)
久々に香港に寄った。香港はは日本からたったの4時間でおもいっきりトリップしてしまう大好きな街だ。とにかくこの町の人はパワフルに生きている。そうでないと生きていけない。この狭い町に680万人もの人間が住んでいる。車は280万台、なんと1キロあたり280台が走っているそうだ。そりゃ渋滞も日常にするよなあ・・・。携帯電話普及率ダントツ世界一の6人に一人が所持、ホテルでも電車でもお構いなしにチュンチュンチャンチャン大声で話している。マクドナルドの売上世界ランキングの上位10店のうち5店舗が香港にあり、また全世界の最高級ホテルのトップ10位のうちの5件が香港にある。ということは高級な店、モノも庶民的なモノも全てが集約されている。

そんな香港に新しいムーブメントを感じてしまった。かつての美味しい巨大な中華料理店は健在だが新しい地区のワンチャイの裏手(香港島)にソーホーといわれる若者が集まる地区が出来て、そこに自然に若手が経営している面白い、今までに無かった新しい店がどんどんと出来ている。日本だと原宿や青山の裏通りというかんじ。イタリアン、日本食、エスニック系、アイリッシュパブ・・・そして中華料理店だ。ここはポーション(量)も少なめ(他がイヤになる程、多いのだ。)、何より作り手の創作意欲を感じてしまうような料理を出している。そしてワインも充実。(旧来の店はショウコウ酒はあってもワインは皆無に等しい)そんな地元のオシャレなOL風女の子やサッパリ系の若者に受けている店がココ。近所の上品なオバチャンも来ていて皆に愛されている雰囲気。在りそうで見た事のない、そんな意表を突いた店だ。オーナーは若手の香港にしては珍しい社交家タイプで親切に今日のお薦めを紹介してくれた。

豚の喉仏とネギの炒め物(非常にサッパリしていてコリコリ感がタマラン)、マトンの立田揚げ(店の自慢の逸品、全員注文していた。)フランス野菜のフレッシュビーンズ(細長いインゲン)の炒め物も素晴らしい。それに合う白ワインも絶品だった。そんなお気に入りな店を香港に探せて幸せ感、120%だ。また行くゾッ!!。
- 憶江南(イッコンナン) 中華料理
- 27ELGIN Street,Central,HONG KONG. SOHO FOOD STREET.
- 中環伊利近街27号 蘇豪美食区
- 電話 2136-0886 ファックス 2111-2822
- 営業時間 11:30~14:30 ランチ 18:00~20:30
- 予算は酒代別で3000円程度、メニューも任せておけば大丈夫。周りの人の食っている物を指差しオーダーでオッケー。食に境界線はない。まったく気取りはない御店。
PV-BV Corporation. Presented by Keijiro Hada